薪ストーブのある暮らし、現実的な暖房費シミュレーション

薪ストーブで光熱費は大幅アップ?それとも下げれる?

努力次第で薪代ゼロ円にできるとか空論言ってても何の役にも立たない

 薪ストーブについて問題になるのが、薪代の負担ですが、私、薪ストーブを設置販売しているプロですが、その立場から見ていても腹立たしく思うのが

『薪は、購入すれば高くつきますが、伐採現場などから自分自身で探してもらってくるなどすることもできるので、その気になれば「タダ」にもできます。努力次第です。』

などと、物知り顔で話をする(記事を書く)薪ストーブ屋さんなり、専門家?です。

 『努力次第ではタダにもできる』というのは、少なくとも『よくある普通の薪ストーブ』で主暖房として暮らそうとした場合は、一般的の人にすれば完全に絵空事だと思うのです。なぜなら、必要な薪の量って、1日あたり買い物かごで2つ以上、年間で3トンにも及びます【薪ストーブで後悔する理由(その1)】

 一体、世の中で普通に暮らしている一般的な人のうち、どれだけの人が、年間3トン(軽トラック換算で7~8台分)とかにも及ぶ原木をタダで調達できる「つながり」を持っているものでしょうか??

 このように、いくら「場合による」とはいっても、結局は何かしらの想定をして、数字、「量」を具体的に想定して、挙げて考えていかないと、薪ストーブ導入に伴う光熱費の見通しの話はできません。

 よって、この記事では、完全な都市部でもなく、山ばかりの田舎でもなく、ちょっといけば、都会にも森にも行けて、薪ストーブの煙も出せなくもない環境にあるご家庭を想定しながら、できる限り具体的な数字をあげながら、この問題を考えていきます。

そもそも薪ストーブ導入前の暖房光熱費っていくらくらい?

 最初から難問にぶつかるのですが、この「薪ストーブ導入前の暖房光熱費」も、ご家庭によってかなり違います。それを「家庭によります」とか言っても、これまた何の役にも立ちませんので、普通のご家庭での一般的な数字を想定してみます。

 我が家の実例も含めて色々検討しましたが、「薪ストーブ導入前」として、この記事で挙げる数字を先に申し上げますと、11月から翌3月までの5か月平均として、暖房光熱費がひと月あたり7,000円、ワンシーズンで3万5千円。

 本記事では、この数字を薪ストーブ導入前の暖房光熱費として議論を進めます。ただこれは、かなり「ざっくり」です。妥当性検証として、検証した根拠だけ少し上げておきます。

 妥当性検証は、国の総務省による家計の支出の統計調査【家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)】の生データを用いました。その支出項目「光熱・水道」のうち11月から翌3月の冬季5か月平均を求め、そこから最も「光熱・水道」として低くなる傾向にあった6月と7月の平均値を引き、これを2001年から2018年までの18年分平均してみました。その結果が6,529円。

 実際には6月と7月は「冷房」のための電気代が含まれていると思います。仮に6月と7月に月500円程度冷房電気代が乗っていたとして、ざっくり検算すると1時間あたりの費用が20円程度らしいので月25時間、「まあそんなもの」と判断し、6月と7月の平均光熱費から500円を引いたものが「冷暖房なし」の裸の電気代と推定すると、冬季光熱費は7,029円として計算されます。それでキリもいいから7,000円。

 でもこれ、実際には、かなりいい加減な数字です。18年分の統計データでも、最大値が8,478円、最小値が4,941円というくらいにばらつきます。ちなみに、計算に用いたデータは水道費も含まれるのですが、水道費には6月~7月と11月~翌3月を比べて特に差は認められませんでした(なぜか10月は、水道費毎年高いめです。なんででしょうね?(笑))。

 とにかくまあ、ひと月の暖房代7,000円といえば、灯油ストーブだけで暮らすとして18リットル缶が1,600円で、もし一週間に1缶買ったとして、30日は4.3週間ですから、 1,600×4.3で6,880円、ひと月という計算で、やっぱり「そんなもの」。

 ですので、目安としては「そんなもの」という感覚も持っていただけるかなという程度で、この「薪ストーブ導入前の暖房光熱費」という難しい問題(笑)につきましては、ひと月あたり7,000円として話を進めます。

薪ストーブ導入後の光熱費(薪代)の想定

弊社でお勧めする薪ストーブにおける薪の想定年間消費量

 薪ストーブは、主暖房と言っても、使い方(朝?晩?平日も?……等々)によって、薪の消費量が大きく異なります。 そもそも暖房範囲(LDKだけ?全館?)によっても違うし、家そのものの築年数(断熱性能)や地域によっても、さらには薪の乾燥具合によっても異なります(ただし重量でいう限り、針葉樹と広葉樹の差は事実上無視できます)。

 それでも凡その「範囲」があって、私や弊社のユーザーさん(「iGブースターモデル」想定)であれば、基本的にはエアコン不使用の「主暖房」、つまり毎晩毎朝使用で、少ない人で年間2立米(1,000kg)程度から、多い人で年間4立米(2,000kg)程度になっていると思われます。

 もし弊社ユーザーさんで、この範囲から外れる場合は、お教えくださいますと助かります。なお『よくある普通の薪ストーブ』と違い、弊社ユーザーさんでしたら、密度の軽い針葉樹も積極活用なさっていると思うので、見かけ体積は多いめになるため、比重0.5を採用しております。

 よって、ここでは、単純に「年間の薪の消費量1,500kg」として、考察を進めます。軽トラックで概ね4台分程度の薪の量になります。1日あたりでは10kg、買い物かご1杯です。

必要な薪の量の全量を購入により賄った場合

 関連記事【薪ストーブで後悔する理由(その1)】で、すでに申し上げた通り、上手に買えば、1kgあたり50円程度で、現実的に購入可能です。トラック1杯(400kg想定)2万円、1立米(600kg想定)3万円といったレベルです。

 よって、必要な薪の量の全量を購入により賄った場合、1日あたりが500円、ひと月あたり1万5千円、シーズンでは7万5千円となります。「それはないわ」というほどの不可能レベルではないですが……

 導入前がひと月7,000円だとすると、ひと月15,000円は、倍ちょっとの費用への「増額」となりますので、薪ストーブの付加価値はそれを上回るものがあるとはいえ、費用的には、実際、結構つらいかなと思います。

購入と、自己調達をミックスした場合

 薪ストーブで使う薪を「広葉樹」に限定してしまうと、上述したように、普通の人なら基本的に購入を中心に組み立てるしかないと思います、現実的に。

 少なくともナラ薪など扱いも火持ちも良い薪は、林業の人が友達とかの「つながり」でもない限り、薪ストーブのユーザーさんの年々の増加による取り合いのみならず、「窯焼きピザ」との競合にもなっており、タダないし格安ルートの発掘は現実的ではありません。

 しかし「広葉樹」に限定せず「針葉樹」、スギやヒノキ、あるいは建築端材やパレットなども大歓迎、ということにしてしまえば、造園屋さん、工場、製材所など、意外と処理に困っていたりして、1回に200kgぐらいの原木にありつけることは、特段難しくありません。

 あるいは、ダムの流木配布など、針葉樹が多いケースも遠慮なくもらいに行けます(最近はドブレとか優秀な「普通の薪ストーブ」との競合もあって、針葉樹だから楽勝というわけにもいきませんが(笑))。これも軽トラがなくても、1回200kg程度なら、ちょっとしたワゴン車でも積めます。

 感覚として、200kgの調達を年間で5回くらい、機会を得ることは、普通の人でも不可能ではないと思います(簡単にできるとは申しませんが……情報収集、声かけ、人とのご縁、大事です)。それで1,000kgが「タダ」で調達できたとします。

 それで、残り500kgをkgあたり50円で購入できれば、25,000円、これが年間の「光熱費」になります。あと「タダ」の薪をもらいに行くためのガソリン代をどう見るかは課題ですが、仮に全体で300km走行(一回は片道30キロ程度)したとして、燃費を13km/リットル、ガソリンを150円/リットルとすれば、ガソリン代は3,462円ということで、年間28,500円。

 つまり、現実的に充分あり得る、普通の人でも可能と考える努力の範囲内で、年間35,000円の暖房光熱費から、28,500円まで削減は可能という計算になります。 もちろん、努力量をここからさらに1.5倍にすれば、ガソリン代だけ、ということになります。

全ての薪ストーブユーザーさんへ

 以上、「タダ」でもらってきた場合を組み合わせながら、暖房光熱費、つまり薪の調達費用を考えてきましたが、感覚でかなりざっくり申しますと、努力次第で、シーズンを通した薪の「平均コスト」を1kgあたり20円程度まで下げるのは不可能ではないと思います。年間の薪消費量1,500kgなら年間3万円というレベルです。

 逆に言えば、もし『よくある普通の薪ストーブ』のように年間の薪消費量が3,000kgであっても、購入薪の価格として劇的に安いものが見つからない限り、「タダ」の薪の量を増やして「コストを薄める」しかないのですが、それで1kgあたり20円程度まで下げることができれば、年間の暖房光熱費6万円、ひと月あたり12,000円は「実用の許容レベル範囲内」だと思われます。

 ですので、一つの提案としては、実際に薪ストーブを主暖房として暮らせるかどうかは、まず、必要な薪の年間消費量を想定したうえで(難しいですが、例えばこちらの記事【薪の使用量(消費量)を、薪ストーブのカタログから読み取る】のような手順で)、お住いの地域における現実的な薪の入手価格及び「タダ」で調達できそうな量を想定されて、平均して1kgあたり20円が達成できそうなら「導入Go」ということで良いように思われます。

 薪ストーブを主暖房として暮らすなら、やはり、暖房光熱費としてどうなるのかは大事なことです。日々の暖房費そのものは、そこにお金をかければ将来何か価値を生むような「投資」という扱いにはならず、少なければ少ないほど有利になる「コスト」ですから……

 なお、こちらで問題提起しましたように【薪ストーブで後悔する理由(その1)】、薪ストーブを維持するメンテナンス等のための費用も実質的には「光熱費」として考慮する必要があります。弊社で薪ストーブを導入頂く場合に限っては、煙突掃除が自分自身でやれることを第一として設置設計し、その他のメンテナンス代や消耗品代も「ゼロ円」ですので、暖房光熱費としては、薪に関係する費用のことだけ考えて頂いたら結構です(これは正直、かなり大きいです)。

 せっかく膨大な設置費用を投じて薪ストーブを設置するのです。純粋な暖かさの質という贅沢価値だけでなく、具体的な投資効果(暖房光熱費削減)も生んでくれると、心情的にかなり嬉しいものです。暖房光熱費削減、ぜひチャレンジしてみてください。

関連記事はこちら

【<PR>弊社がお勧めする薪ストーブ】

【 薪ストーブ導入に際して、よくある疑問について解説します 】

【薪ストーブで後悔する理由(その1)】

【薪の使用量(消費量)を、薪ストーブのカタログから読み取る】