楽しく暮らすための薪ストーブの選び方;最重要ポイント5つ

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家で暮らすのに実際に使える薪ストーブを選ぶには、どんなポイントに注意すればいい?

 薪ストーブのある暮らし、特別な趣味と割り切る人も中にはいますが、多くの人が、薪ストーブを導入、選択するにあたって、できる限り「ディリーユーズ」、普段の暮らしの中に薪ストーブを取り入れていきたいと考えています。

 そのための薪ストーブとして、おすすめはこれ!!という機種紹介をお読みになる前に、どんな薪ストーブなら「ディリーユーズ」で暮らせるのか、本当の重要ポイントを知っておくのは、とても大切なことです。

 なぜなら「ディリーユーズ」が目的と、ユーザーさん本人の目的がはっきりしていてもなお、業界の中の人から見て「ああ……趣味ならともかく、暮らしの中で使うなら、その機種だけは、選んではいけないのに……」という残念な選択をなさっているいる例が、本当に珍しくないというのが現状です。

 その原因を一言で言えば、薪ストーブを売る側は「お客様として楽しむ」場合のような各種メリットを案内をして製品を売り込んでいるわけです。ところが薪ストーブの場合、自分で料理をする場合と一緒で「それを提供する側」、つまり自分で実際に準備から操作、メンテナンスまで全部やらなければ、そもそも「薪ストーブのある暮らし」が成立しないのです。

 少し考えてみてください。同じ「料理が好き」「料理を楽しむ」と言っても、「料理を食べる側」と「料理を作る側」では、「なんの料理がおススメか?」という場合に、視点が明確に違ってくるのはおわかりかと思います。ところが薪ストーブの場合、特に販売現場において、そしてユーザーさん自身がその薪ストーブにするか選ぶプロセスにおいて、その視点の違いが、まるで存在しないかのような状態にあります。

 そこで、当サイトでは、薪ストーブをお客様として楽しむならいいけど、実際に自分がやるなら「舞台裏」を想像できなければならない、という「あたりまえ」のことが可能になるよう、最も重要なポイントを5つに絞って、重要な順にご説明します。

  1. 火がつけやすいか→【実際の薪ストーブを用いて説明した動画はこちら】
  2. 煙は充分少ないか→【実際の薪ストーブを用いて説明した動画はこちら】
  3. メンテナンス性と耐久性は充分か→【実際の薪ストーブを用いて説明した動画はこちら】
  4. 一回当たりの薪使用量は少ないか→【実際の薪ストーブを用いて説明した動画はこちら】
  5. いかに早く実際に暖まるか→【実際の薪ストーブを用いて説明した動画はこちら】

 以下、それぞれ説明します。

火がつけやすいか

 火がつけやすいか、というのは、単純な、いわゆる「着火性」だけの問題ではありません。着火性だけで言えば、薪の組み方とか、極端な場合着火剤などを周到に準備すれば、巷に多くある動画のように、大概の薪ストーブは良好な着火性を見せます。

 そんな動画で見るような単なる「着火性」ではなくて、「火がつけやすい」というのは「舞台裏」を含めた総合力として、最も大切なポイントで、以下のような要素を全て兼ね備えている場合に、初めて「火がつけやすい」と言えるものです。

 料理に例えれば「とりあえず、なんか作るね?!」と同じなのです。なによりも素早く、パッパと出来上がるものでないとダメです。そしてパッと出来上がっても美味しくなくては、つまり一定以上の結果(満足)が得られないことには意味がありません。

 すなわち、たとえ簡単にできても、大量の材料を用意して大量に作らなければ美味しくならないような料理だと、負担が大きくなったり、せっかく出来ても余らせたりと、決して気軽にはできません。あるいは、やることそのものは簡単(失敗がないもの)でも、時間がかかってしまっては、やはりニーズを満たすことはできません。

 簡単で早い、そのうえで「結果」「満足」が、とりあえずであっても、確実に得られるということが、ニーズを満たすうえで何よりも大切です。

 必要な準備資材がコンパクトというのは「準備が簡単、準備に手間がかからない」ということにほかなりません。手に入りやすい安い材料を使って、少しの量で「とりあえず満足のいく結果」が得られることが、薪ストーブにおいても大切です【少しの薪でとりあえず満足いく結果の得られる薪ストーブの実例を示した動画はこちら】

 ここで、賢い人でも陥りやすいワナが「針葉樹も燃やせる」という機種。針葉樹のような安い薪でも長時間じっくり燃やせるみたいな「満足度の高い結果」を売りにしている薪ストーブに手を出しがちです。

 その「満足度の高い結果」がパッパと手に入るなら全然いいのですが、実際はそうもいかない場合が多いです。複雑な機構を備えた重い重い本体を、乱暴に立ち上げてしまうと寿命が極端に短くなりますから、慎重に時間をかけて、かなり高温まで持って行ってから……みたいな「準備」が必要です。これは美味しくない食材でも、手間ヒマかけたら美味しくなる、みたいな話と一緒で、普段の忙しい暮らしの中では、そんなことやっていられないと思います。

 毎晩・毎朝の「普段使い」「ディリーユーズ」を重視するなら、そこでストレスなく、使い易い、失敗しない本体の選択をするためには……

 『手間ヒマをかけなければ美味しくならない素材なら、最初から割り切って「とりあえず満足いく結果」という使い道でパッパと消費してしまった方が合理的』【詳しくはこちらの記事をご参照ください】

 ……というような、一歩踏み込んだ「賢さ」が必要です。なにより「暖房」という実用というか差し迫った分野で、「とりあえず満足いく結果」が求められるシーンは、日常生活の中でかなり多いのです。

 そういうディリーユーズの文脈から「針葉樹」について考えるなら、何よりも「乱暴に立ち上げても壊れない・寿命に影響しない」ということが、薪ストーブの選択において失敗しないポイントとしては、最も重要と言えるでしょう【盛大に炎を上げて立ち上げることができる薪ストーブの実例を示した動画はこちら】

煙は充分少ないか

 火がつけやすいか、という問題は、薪ストーブで楽しく暮らせるかという部分を左右する最大の要素ですが、ご近所さんとの良好なお付き合いも、楽しく暮らせるための重要な要素です。それが薪ストーブで崩れてしまっては元も子もありません。そのご近所さんが心配されるのは、火がつけやすいかとかでは決してなく、煙の問題に他なりません

 しかし困った本質論として、薪ストーブ本体を製造する側の技術論を言えば、煙の処理を疎かにするほど、「火がつけやすい」が、容易に達成できるのです。

 このことは、エンジンなど機械ものに詳しい方や、何かの製造などに携われている方、あるいは公害の歴史などをご存じの方なら、容易にピンとくると思うのですが、いわゆる「環境性能」が甘い製品やプロセスほど、「使う本人」「提供する側」からすれば「使いやすい」のです。

 ですので、山奥で暮らすなら、一般論としては「煙が少ないことを売りにする薪ストーブ本体」を選択するよりも、それを売りにしていない本体を選ぶ方が、楽しく暮らせる可能性は高くなるのですが、ご近所の手前、そういうわけにもいきません。煙の問題は実際に楽しく暮らせるか「命運」を左右する、最重要課題とも言えます。

 だからといって、煙の処理がしっかりした薪ストーブを選ぼうとすると、こちらの記事【薪ストーブで後悔する理由(その2)】でも述べたように、煙を処理しようと、処理機構のハイスペック化を重ねるほどに、皮肉なことに「使いにくさ」についても、さらに屋上階を重ねることにつながってしまうわけです。

 そこで、結論としては「火がつけやすい」かつ「煙の充分少ない」という、矛盾した特性を備えた薪ストーブを選ぶ、ということが何よりも重要なポイントとなってきます。そういう薪ストーブ本体は、実は「かなり少ない・限られている」のが現状です【火がつけやすいかつ煙の充分少ない薪ストーブの実例を示した動画はこちら】

メンテナンス性と耐久性は充分か

 楽しく暮らせる薪ストーブを選ぶのは、そんなに簡単ではありません。そろそろ、頭が痛くなってきたかと思いますので、ここから先は簡潔に説明します。

 一般に、煙の出ないストーブは、火がつけにくいだけでなく、メンテナンスが大変という特徴があり、何かにつけて手間や費用を要し、かといって面倒だからと乱暴に扱うと「寿命」に大きく効いてきます。逆に、煙を気にしない、火がつけやすいストーブは、メンテナンスもしなくて良かったりしますが、使い捨てというほど耐久性のないものが普通です。

 したがって、薪ストーブで楽しく暮らるためには、火がつけやすく、煙が充分少ないことに加えて、メンテナンスがしやすい(維持費用にお金がかからない)、耐久性の高いストーブを選ぶことが大切です。

 とはいえ、実は、煙が充分少ない薪ストーブでは、この問題(メンテナンス性と耐久性)が、現実として一番難しいところで(いじわるを言えば出荷時性能として良いモノならば比較的簡単に作れます)、かなり選択肢が限られてきます。具体的には大概の「ディリーユーズ」される薪ストーブは、丁寧に扱おうにも「普段使い」の限度があるので、たいてい10年ほどでダメになります。

 この記事をお読みの方の便宜のために、この部分に限って「完璧な自信」を持ってお勧めできるモノを言えば、手前味噌ですみません、弊社で扱っている製品【モキ製作所の薪ストーブ】しか、答えがありません(「完璧な自信」というほどでなければ、「丁寧に使えば可能」という条件なら、他にもあるかとは思います)【具体的に実機を示してメンテナンスの有利さについて説明した動画はこちら】

 すなわち、本体のメンテ不要で交換部品も不要、煙突掃除と薪代を除く維持費用(ランニングコス)としてゼロ円です。それでいて「ディリーユーズ」、特別な配慮をせずに毎朝毎晩使っても30年以上使える耐久性を持った薪ストーブは、世界中探しても、このモキ製作所の薪ストーブ(厳密には、その中でも一部の機種)しか、世の中に存在しないのです……

一回当たりの薪使用量は少ないか

 これまでお話ししてきた3つのポイントを満たす薪ストーブ【例えば、こちらの記事で紹介した「ドブレ」というメーカーの薪ストーブなど】であれば、とりあえず楽しく暮らせることは間違いありません。しかし、薪の消費量が多いとやっぱり「しんどい」です(私なら「ドブレ」でも到底無理、しんどいです……)。財力や体力や時間があればいいのですが……。

 そのあたりの問題については、こちらの記事【薪ストーブで後悔する理由(その1)】でも述べたように、そもそも薪ストーブのある暮らしが現実的に継続できるのか?という問題にかかわってきますので、充分にご検討を。

 参考までに目安としては、1回当たりの薪使用量が「本当の意味で」、すなわち「焚き付け」も含めて5キロくらいで済むなら、毎朝毎晩使っても年間消費量として2.5立米とかで済むので、かなり楽しく暮らせると思います【本当の意味での1回当たりの薪消費量がどのくらいかを実証した動画がこちら】

いかに早く実際に暖まる(立ち上がる)か

 これまでお話ししてきた4つのポイントが合格している薪ストーブであれば楽しく暮らせることは保証です。あとは、一番目のポイントの一部強調になりますが、より快適な暮らしという意味です(より正確には「切実に必要」ということで……)。

 思い返して頂きたいのですが、薪ストーブは、そもそも「暖房器具」です。暖房器具の性能として、何よりも大切なのは、パッと、すぐに暖まることです。これこそ日常の暮らし、「ディリーユーズ」の場面で最も求められる特性に他なりません。調理熱源としても基本的に同じことが言えます。

 薪ストーブ以外の、巷の暖房器具なら、すぐに暖まらなくても、タイマーを仕掛けておくだとか、遠隔制御などもできるので、この「すぐ暖まること」は、それほど大きな問題にはならないこともあるのですが、薪ストーブは、タイマーも遠隔制御も絶対に不可能です。よって「すぐに暖まる」ということは、薪ストーブにおいてこそ、絶対に外せないポイントになるのです【室内が寒い状態から薪ストーブに火を入れて、部屋の温度がどんな感じで上がっていくかを実際に示した動画がこちら】

まとめ&具体的にどうやって選べば良いのか??

 薪ストーブのある暮らしは、単なるディリーユーズの暖房器具以上の大きな価値を、間違いなくもたらしてくれます。例えば人は「その価値の一部」である「炎を直接扱う」を求めて、わざわざキャンプなどにもいくわけですから……

 かといって、よくある、炎を見つめながらお酒をくゆらせるとか「そんな趣味的な嗜好のためだけに」大変なお金を払って薪ストーブを入れようという方も、あまりいないかと存じます。薪ストーブが趣味的とか特別な存在ではなく、むしろ「日々の暮らしの中で普通に炎がある」からこそ、手に入る価値が、実はあります。

 それは「気付き・学び」だったり、「ご縁・つながり」だったり、「思い出・記憶」だったり……どれも大切な、得難いものばかりで、人生を生き抜く力(これが真の意味での「豊かさ」です。「豊かさ」というのは「より自由に生きるための資本」でなければなりませんから……)にもなります。

 私は、人を惹きつけるポカポカとした暖かさのみならず、「普通に炎のある暮らし」だからこそ得られる、そんな「特別な価値」こそが、薪ストーブで暮らす意味の根幹を成すと考えています。

 ここでお話ししたかったのは、どんな薪ストーブであれ「日々の暮らしの中で普通に炎がある」ということが成立する限り、「特別な価値」は得られるということで、それがちゃんと得られるならば、インプットとしてはできるだけ簡単でラクなほうが、確実に幸せになれますよ、ということです。

 すなわち、アウトプットとして細かな違いはあるかもしれませんが、本質的に同じような価値が得られる限り、できるだけ気苦労が少なく、体力が少なく、時間がかからないということを最優先に考えた方が良いというのは道理だと思います。

 とにかく私としましては、あなたさまが「薪ストーブとにかく大好き」という趣味の人で、アウトプットの質の細かい違いにこだわるなら別ですが、日々、普通に薪ストーブを使って暮らすことに重点を置くのなら「日々の暮らしの中で普通に炎がある」ことによる「特別な価値」を享受しながら、気苦労や、体力や、時間をいたずらに費やすことなく、というか、それらを「たかが」薪ストーブに投入するくらいなら、人生でもっと大切なテーマに投入して欲しいと切に願うところです。

 そのようなことで、あなたさまにおかれましては、ぜひ、ここで述べたような5つのポイントを満たす薪ストーブを選んで頂きたいわけですが、それは、いくらカタログやら薪ストーブ読本を眺めていても見分けられません。そういう見分けるために役立つ情報は、今のところ「ほとんどない」と思います。

 そこで、見分けるための具体的な方法、ここで述べたような視点からの情報は、具体的にどうやって得られるか??については、こちらの記事【楽しく暮らせる薪ストーブの選び方;実践編】に、実用的なチェックリスト付きで【閲覧用のPDFファイルはこちら】かなり詳しく解説しましたので、もしよろしければご覧になってくださいませ。

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