薪の代表的な木の樹種の見分け方とおススメの活用法(その1)

「薪 樹種 見分け方」すでに多くの考察がある中で

樹種を見分けるためには、そのための力を身に着けること!

 ネットのご時世だからかもしれませんが、実はこの薪ストーブに絡んだ「薪にする木の種類の見分け方」の考察は、すでにたくさん存在します。一つ紹介すると、人里近い森で薪として手に入る可能性があるほとんどの樹の種類を網羅している感じなのがこちらの記事【【樹皮画像】これが薪に秘められた性能、良い薪 種類 樹種見分け方!!  火持ちや燃え方の特徴一覧】、力作です。これ読めば色々わかりますし、このほかにも、ネット上には多くの考察があります。

 しかし、森林インストラクターとしての経験を言えば、普通の人はとてもじゃないけど「覚えられない」ので、当記事では「ざっくり」、普通の人が薪ストーブの暮らしを始めるうえで役に立つ「見分ける力の身に着け方」を第一に解説します。

 「ざっくり」とはいえ、当サイトらしい「細かいこと」を言えば「木を見分けるコツは、身近にある、似たものを見分けることから覚えましょう」です。で、当サイトですが、実務ベースですぐに役立つ記事として、次のようなポイントで進めます。

  1. 手に入りやすい「針葉樹」、スギとヒノキの木材としての違いを観察してみましょう!
  2. スギとヒノキの違いが観察できるようになれば、針葉樹と広葉樹の見分けなんて難しくない!

 それでは、魅惑の「木の世界」、森林インストラクターによるご案内で、相変わらず長いですが(笑)どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

樹種を見分ける練習だけではない、当記事がすぐに役に立つ理由

 練習でスギとヒノキの見分けを覚えますが、それが何の役に立つの?と思うかもしれません。なにしろ『よくある普通の薪ストーブ』の世界では、スギとヒノキは「針葉樹」と一言で括られますから。

 けど、針葉樹と広葉樹でかなり薪としての価値が異なるのと同じように、同じ針葉樹でも樹種によって価値がかなり異なります。スギとヒノキの間でも、薪としての価値はかなり違ってくるのです。

 具体的には、私だったら…そうですね、体積売りだったら1.3倍…いや、仮に1.5倍の値段でもスギよりヒノキを選ぶかもしれませんね。そのくらい木の種類によって「薪としての価値」は変わるものです。

 もちろん薪ストーブ本体によって、スギとヒノキの「違い」が、どの程度の意味の違いを持つかは変わってきます。例えば充分に本体が蓄熱された鋳物製ストーブだったら、スギもヒノキも炉に放り込んだ途端に「あっという間」に燃えてしまって、何も変わらないかもしれません。

 けど、弊社が主に扱う「モキ製作所の薪ストーブ」、しかもそのオリジナル改良版であれば、蓄熱に頼らず細い薪で長時間炎を保ち続けるような使い方をしますので(これぞ真の省燃費なのです)、スギとヒノキの違いはかなり大きいのです。

 現に、弊社の「ここぞ」の性能検証動画、例えば古典的ですがこちら【モキ製作所 薪ストーブ MD80Ⅱ 燃焼性能試験 2.5kgの薪で天板温度200℃から250℃を何時間維持できるか?~iGブースター装着編~】などで使われている薪は、実は、全部ヒノキばかりだったりします(笑)

 よって、少ないお金で最大限の成果を生み出すうえで、スギとヒノキを正確に見分けることができることは、趣味ではなく、実用上の非常に大きな意味を持ちますので、ぜひ興味を持って覚えて頂けましたらと!

薪の木の種類の見分け方練習「スギとヒノキの見分け方」

まずは基本的な「樹種を見分けるための考え方」から
スギとヒノキの教材全景

 これが、今回の「教材」、スギとヒノキです。この写真見ただけで「これがスギでしょ?こっちはヒノキ!」……とか「見分け」ができたかた、どうぞ、本ページから、お引き取り下さいm(__)m あるいは「採点」、本ページの真偽についてご検証願います!(笑)

 まず、大事なことを言いますと、木の種類の見分けって「五感」でやるものなのです。目で見た違いだけでなく、触ってみる、持ってみる、嗅いでみる……この結果「全体的な雰囲気」として見分け方がわかってきます。

 この時、有効なのが「できるだけ「生」から自分で捌いてみる」ことです。逆に言いますと、例えば魚の見分けをしようとして、刺身として切り身の状態になったものを、いくら眺めていても限界がある、ということです。

 もちろん、切り身になってからでも、魚の種類って見分けられなくもないですが、そりゃ、自分で生魚から捌いたほうが、はるかに覚えられるって、わかりますよね??

 ですので薪について言えば、捌く前についている原木の皮、樹皮って、見分けにとって、すごく有効です。枝葉があれば、もっといい。けれど、実際の薪ストーブのある暮らしの場面では、せいぜい皮のない裸丸太から割る、という程度だと思うのです。

 でも、この「割る」ってすごく重要でして、スギとヒノキは、そこで、かなり差が出てきます。こうやって「標本」をいくつも並べて示したのも、その「割ってみた違い」を、写真からでも想像して欲しいからです。

素直に割れる感じのスギ、粘る感じのヒノキ
スギとヒノキの割った断面

 一番良いのは、自分で実際に割ってみることですが、割った断面の様子を見ても、結構なことがわかります。写真、一方がスギで、一方がヒノキなんですが、どっちが割れにくそうに見えますか??

 両方とも「割れやすい」針葉樹ですが、それでも結構、違いがあります。ヒノキの方が割れにくいというか、粘るんですよね。スギは、本当に素直に、すんなり割れてくれます(節があれば厄介なのはスギも同じ)。どちらがどっちか想像つきますよね?

ヒノキの割れにくさ、ささくれ

 割れる時に粘る、というのは力が要るということで、バキバキ剥がれながら割れるということもままあります。スギとヒノキですが、もちろん写真の下の、横になっているのがヒノキですね。こういう「割れるのに抵抗しました」というのも有効な見分けポイントです。

 あと、実務ですが、割れにくい木は、多くの場合「ささくれ」として鋭く、薄い断片を生じやすいです。繊維が密で、粘るからこそ割れにくいのでしょうね……結果的に、高密度で、燃える時にも少ない量で価値を発揮してくれます。

ヒノキのささくれ

 「粘る木」を、細かく割るのは大変ですが、成り行きで細く割れたものなんかは、焚き付けとしても有効ですから、確保されると良いと思います。なんでも「ものの命」ですよ!!(笑)

木の肌の色みと、きめ細かさに注目!

 割りにくさとも通じてくるのですが、密度が高い、薪としても価値の高い木は、木の肌のキメが細かくなります。針葉樹の中ではヒノキはそのような例です。それに比べると、素直で割れやすいスギは、密度が高くなく、肌もきめ細かいとは感じません。

スギの心材の着色

 あと、木材の色みの違いも樹種を見分ける時には、とても有効です。基本的な話ですが、木材の色は、同じ樹種でも「心材」と「辺材」で異なります。「辺材」は、今、成長活動している組織で、樹種による差はあまりありませんが、「心材」は活動を止めた組織で、樹種による差が出ます。

 写真で、スギの方が、年輪の真ん中に近いほう、つまり心材ですが、赤茶に着色しているのがおわかりでしょうか?一方でヒノキは、ほとんどというくらい着色していませんね?これは、原木の状態でスギとヒノキを見分ける時に、一番わかりやすい特徴です。

 そして、さらに全体の「色み」です。ヒノキが、どことなくピンクかかって華やかな明るい色みをしているのに対して、スギが、どことなく灰色かかってくすんだ色味をしているのがおわかりになりますか?

 この色みは、もちろん「個体差」もありますし、何よりも風雨にさらされているうちにくすんできます(退色)。けれど、割る機会があれば、くすんでいない色みを見ることもできますし、そういう特徴を覚えておけば、何かと大きな顔ができる……かもしれません(笑)

ヒノキの心材の着色

 では問題です!この原木の丸太は、スギでしょうか?ヒノキでしょうか??心材の着色、ありますけど薄いですよね、そして色みはどうですか?……はい、きっと、もうお分かりかと思います。

ヒノキの割りそこない

 最後に、ここまでの応用問題です。この横たわっている針葉樹の木片ですが、スギかヒノキのどちらか?と聞かれたら、お分かりでしょうか??ちなみに写真でわかりにくいですが、写真で大きな割れ目のちょっと左にある着色は、心材と辺材の境です。

 そして、どうしても迷うなら、スギとヒノキでしたら「新鮮な表面を嗅いでみる」というワザもあります。スギに比べて、ヒノキは「ツンとくる」というくらいの芳香があります。木全体に菌やシロアリが入っていると難しくなりますが……

 ともかく、スギとヒノキです。ヒノキは実は意外と少ないですが、それでも身近に触れれる針葉樹の代表格です。ぜひ、ここで読んで頂いたことを思い出して、持ったり触ったり、想像してみてくださいませ!

ヒノキのスギの見分け回答
最後に、スギとヒノキの樹皮の違い

 ここまで見てきたように、木材としての性質(割れにくさ、ささくれ、密度、きめ細かさ、色み……)を見て頂いたら、原木の状態として皮がなくてもかなりわかるのですが、やっぱり樹皮の違いも知っておくと素敵です。知らない人に大きな顔ができます(笑)

 もっとも、スギとヒノキの見分けは、こちらの記事【スギとヒノキとサワラの見分け方 | パワースポット魂】の方も言う通り、樹皮で見分けることもできなくもないのですが、結構上級者向きで、結局は「葉っぱ」を見ましょうとなります。

 なにしろ人間のお肌と同様、同じ樹種でも「樹齢」によってすごく変わりますし、生育環境によっても変わってきます。それでも「基本」を知っておくと役に立ちます……いや!大丈夫ですって!簡単ですから!!(笑)

ヒノキにスギの皮を立てかけた

 写真では左側に立てかけてあるのが、スギの樹皮ですが…ヒノキの赤っぽい華やかさに比べたら、やっぱり、くすんでますよね?樹皮も。

 そしてあと柔らかいヒモ(細い繊維)みたいな感じをより強く感じるのがスギで、繊維感もあるけど全体としては硬くてパリパリしたシート(幅広の面)みたいな感じが強いのがヒノキです。ポイント以上(本記事の一連の写真でも、そうやってよーく見れば、微妙な違いがわかります)。

 大木になると、かなり差が出て、スギは繊維質が分厚く堆積したような深い彫りのタテ縞模様になるし、ヒノキは「檜皮葺」として屋根材に使われるような「シート材」を私たちに提供してくれるのですが、薪にされちゃうのはそんな立派な木は珍しいので、見分けのポイントを覚えておいて頂ければと。

 以上、スギとヒノキですが、薪に限らず、手に触れる木材としても、生えているのも身近ですので、ぜひ意識して、見分けにチャレンジして頂けましたらと思います。

スギとヒノキの違いが分かれば、広葉樹の区別なんて簡単

木の肌の様子も複雑で「放射組織」がはっきりしている広葉樹

 薪ストーブで楽しもうとする人にとって、広葉樹と針葉樹の見分けは、スギとヒノキの見分けよりもはるかに重要です。こちらの記事【薪ストーブの薪(燃料)としての針葉樹と広葉樹の違い】に詳しく述べた通り、薪ストーブの原理に照らして、燃料としてそもそも適していないという問題もありますし、燃料としての価値も用途も「まるっきり」違ってきますから!!

 でも、一言で「針葉樹」と括られるスギとヒノキを見分けるなんて慎重な訓練を経てきた「あなたさま」にかかれば、針葉樹と広葉樹を見分けるなんて、造作もないことです(たぶん 笑)。

ナラの薪全景

 一般に広葉樹は、針葉樹に比べて密度が高く、よって割れにくく、そもそも生き物として出現時期が遅く高等なので、木材としての造りも相当複雑で賑やかです。写真でも一目それが伝わりますでしょう?未処理の面は手触り的にもすっごく「ザラザラ」してますし、割ろうとすれば粘るということです。

 で、その複雑な賑やかさを細かく説明すべきですが、もともと工学部化学系、面倒くさがりな森林インストラクターですので、すみません、むちゃくちゃ「ざっくり」言えば、「放射組織」が発達していたり、導管が年輪に沿っていたら(「環孔材」と言います)、そりゃ間違いなく広葉樹って判断です(笑)

 「放射組織」というのは、ちょうど年輪と直交する形になりますが、木の中心から外へ外へと延びていく形で配置されたタテのリボンのような組織です。

ナラの放射組織(柾目)

 この写真では年輪にクサビを打ち込んだような向きで「帯」のごとく白く光っている部分です。広葉樹は、ですから、針葉樹と比べて年輪がはっきりしない(環孔材を除く)割に、真ん中から外に向かう線がはっきり見えることが多いです。

ナラの放射組織(木口)

 年輪がみえるように上から見ると、こんな感じですね。ちょうど年輪に対して直交して線のように描かれています。これが放射組織。で、帯状の組織ですから、この放射組織の「断面」は……

ナラの放射組織(板目)

 これは木材の「背中側」と申しますか「外側」から、中心方向に向けて見たところです。細長くて黒っぽい「点」というか「短線」が放射組織の断面になります。この点線模様は「カシ目」といわれます。

 世間の薪ストーブユーザーがありがたがる(いえ、もちろん、私もありがたいのですが!)ナラとか、クヌギ(アベマキ)とか、カシは、この「放射組織」が非常に発達して「カシ目」があることが特徴ですので、カシ目があって重い材は、割れにくいことは覚悟ですが、基本的に良い材ですので優先確保になります(笑)

広葉樹の樹種を見分ける有効な特徴「環孔材」

 広葉樹の中で、例えば、それぞれ重いめのナラとカシとケヤキを見分けるのは「ちょっと」難しいです。けど、先ほど述べた「カシ目」(正確には「広放射組織」と言います)と、「環孔材」を組み合わせれば、結構、なんとかなります。

ナラの環孔材

 「環孔材」というのは、この写真で見て頂けるとおり、年輪に沿って、導管が輪になって配列している木材のことを言います。平たく言えば、「カシ目」と「広放射組織」の両方があれば「ナラ」です(「クヌギ」(アベマキ)もこの仲間です)。「環孔材」は年輪模様、つまり木目がとてもハッキリします。

 それに対して「カシ目」があるんだけど、「環孔材」になっていない、つまり年輪模様、木目がはっきりしていないのが「カシ」です。こちらのブログ【【番外編】会社の看板作って学んだこと(上) - 超簡単薪ストーブ調理】に出てきましたね。超重くて硬いです。

 そして最後にカシの「逆」、「環孔材」で年輪模様、木目ははっきりしているんだけど、「カシ目」がないのが「ケヤキ」です。ちなみにこれまた硬くて超重い「クリ」も樹種の見分け方としては、この仲間です。そんなケヤキの写真は、こちらの右側。

ケヤキの環孔材
薪は知るほどに役に立つ!薪の種類を見分ける意味について

 こんな調子でやっていくと、キリがないので、もう、いい加減「おススメの活用法」に移りたいのですが、実は、もう一つだけ、見分け方としてどうしても説明しておきたい樹種があるのです!!でも、まずは、ここでひと段落させて、「見分ける意味」ですよね(笑)

 なにしろ、同じ労力をかけても、ただ「薪の種類の違いを知っているか・知っていないか」で、アウトプットが全然違ってきますから……種類の違いを学ぼうとするのも、それが何のためであるかをわかってこそです。何事にせよ、学ぶことはとても楽しいですが、役に立つことは、「楽しい」以前に大切です。

 そう、もともと、ものすごく奥の深い世界なのです。それを活用法も含めて「ざっくり」説明しようなんて……ちょっと無理がありました(笑)よって、この続きは「その2」として別記事【おススメの活用法】にまとめましたので、そちらもご覧くださいませ♪

 なお本記事は、学術的にも正確を期すために、こちらの専門的分野入門書【この木 なんの木,佐伯浩,1993,海青社】で裏を取ったと申しますか、改めて、相当参考にさせて頂きました。佐伯博士に敬意と感謝を表しますと同時に、もしもっと詳しく知りたい場合は、こちらの本をお勧めいたします!

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